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01   「はつ恋に描かれた  言語聴覚士 村上緑さん」 第1話  言語聴覚士村上緑さんが勤めるリハビリセン ターに、失語症患者中山貞夫さんがやってきま した。見るからにまじめで、頑固そうな中山さん。 突然の病、そしてことばを失ったことに対して、ま だ気持ちは受け入れることができません。戸惑 いや混乱、苦しさを漂わせ、ひとりポツンと立って います。緑さんは、富士を眺めながら立っている 中山さんに、そっと声をかけます。  中山さんはことばをかけられ、思わず払いのけ るように後ろの椅子に座りこもうとしました。麻 痺の残る身体をかばうように手を添える緑さん。 そっぽを向いた中山さんに対して、「少しずつ、こ とばを取り戻していきましょうね」と優しく話しかけ ます。多くの失語症患者さんの発症早期の様 子に、重なることが多い場面でした。 第2話  肝臓癌の手術を受けることになった緑さん は、中山さんにしばらく休むことを伝えます。日常 会話の理解が可能な中山さんに対し、緑さんは 自分がしばらく休むために、担当が変更になるこ とを伝えます。驚きの表情を隠せない中山さん に対し、「癌の手術を受ける」と伝えます。緑さん はことばで説明するとともに、「癌の手術」と紙 に文字を書いて示しました。  初めの1文字で状況を察した中山さんは、字 を書く途中の緑さんの手を思わず握り、それ以 上書くのを止めます。失語症の患者さんはこと ばは話せなくても、行動で思いを伝えることがで きます。「必ず元気になって帰ってきます」と言っ た緑さんに、大きく肯いた中山さん、ことばがなく ても思いを伝えあい、心と心のコミュニケーショ ンが成立した場面でした。 第3話  初恋の相手三島先生の手によって、無事に 肝臓癌の手術を終えた緑さんは、手術後三島 先生の「どうして言語聴覚士になったの?」とい う質問に対し、こう語りました。「ことばは人をど ん底に落とすこともできる。でも、ことばは人を絶 望から救うこともできる。ひどい失恋をした私は、 2年間猛勉強して言語聴覚士の資格をとりまし た」。緑さんの、ことばに対する思い、言語聴覚 士という仕事に対する思いが感じられた場面で した。  復職した緑さんを迎えた中山さん。「退院?」 「よかった、待ってました」とことばが出ます。 「先生は、もういいんですか?」と問われ、緑さん は思わず「中山さん、すごく上達しましたね」と言 いました。中山さんの言語機能は順調に回復 し、短い文が言えるようになりました。 第4話  緑さんの夫、潤さんが緑さんとの出会いを語 る回想シーン。緑さんは、中等度の喚語困難の ある失語症患者さんとのことばの練習をしてい ます。「これは何ですか」「ええと…うさぎじゃなく て…」「もしもーし、こちらは村上緑です。古賀さ んですかぁ?」緑さんはおもちゃの電話を使って、 大げさな身振りをしながら、ことばの想起をうな がしています。患者さんもつい引き込まれるよう に、楽しげに練習をしていました。このときの緑さ んの笑顔に、潤さんはひとめぼれしてしまったと いうことです。 第5話  いつになく落ち込んでいる中山さん。印刷会 社の社長として、職場復帰の直後です。「先生。 ことば…一生…だめかね…」と深刻なセリフが 聞かれました。「そんなことありません。ご病気に なった時に比べたら、とてもよくなられました」とい う緑さんのことばにも、うつむいたままです。「私、 間違えた…」中山さんは「シャツ20枚」の注文 を「120枚」と言い間違え、大量のシャツを余ら せてしまったのでした。突然袋からバサバサとT シャツを出して、「あげます」と言う中山さんに、緑 さんはTシャツに書かれた「ファイト富士西校」の 文字を見て、「わあ、うれしい。私富士西校なん です」と、いつものように明るい調子。失語症患 者さんのことばの障害による失敗の話で、暗くな りがちな場面でしたが、緑さんはあえて深刻な話 を、深刻に受け止めないようにしていたのが感じ られました。たとえ多少の失敗をしたとしても、中 山さんが職場に戻り従業員に受け入れられたこ とは、ほんとうにうれしいことでした。  そのころ、パリの病院で忙しく働く三島先生 が、脳出血を発症してしまいました。幸い身体 の麻痺はなかったものの、重度の失語症を呈し ています。日本に帰った後、何軒も病院を回っ ても、誰にも心を開かない三島先生は、ついに 緑さんのリハビリセンターへ。二人は思いもしな かった再会を果たします。 第6話  三島先生の失語症は、理解面は良好に保た れている可能性があるものの、発話面に重度 の障害を認めています。初めは心も打ちひしが れたような状態でしたが、緑さんの働きかけで少 しずつ変化していきます。声はなかなか出ません が、書字の練習が順調に進み始め、宿題にも 取り組むことができるようになりました。  中山さんは、三島先生のことが気になってい る様子です。一年前の自分の姿を思い出しなが ら、三島先生に話しかけます。「こと…ば..、だめ 〜失語症講座から〜 このニュースがみなさんの手元に届くころ、 言語聴覚士を主人公にしたNHKドラマ10「はつ恋」の全8話の放送が、 終了していると思います。みなさんの感想はいかがだったでしょうか。 中園ミホさんは、これまでもいくつもヒット作品を生んだ人気の脚本家。 今回も多くの視聴者を釘付けにする、見事なストーリーでした。 何より、言語聴覚士の親友を持ち、 言語聴覚士の仕事に以前から興味を持っていた中園さんは、 いつか言語聴覚士を主人公にしたドラマを書きたい、と思っていたそうです。 その思いを実現したドラマ「はつ恋」、まずはストーリーを紹介します。