第11回日本言語聴覚学会は6月26日(土)、27日(日)の両日、大宮ソニックシティにおいて開催されました。梅雨のさなかではありましたが、幸いお天気にも恵まれ、250題という演題の発表をはじめとする様々なプログラムが行われました。
両日で2,168名の方に会場にお越しいただきました。同じ会場で開催された第4回の本学会では、参加者数が1,000人を超えたことが話題であったことを思いますと隔世の感があり、演題数、そして来場者数も格段に多く、本学会の隆盛を実感させられました。これも偏に協会会員の皆様のご理解、ご協力の賜と厚く御礼申し上げます。
言語聴覚士が業務を行う領域は幅広く、また社会情勢や制度の変化に伴い、その業務の範囲もさまざまに変わっていきます。言語聴覚士ひとりひとりが、どこまで何ができるかということを自ら確認した上で、周囲への情報発信、広報活動を行うことが重要であると考え、言語聴覚士が実施可能な業務内容の広がりについて確認し、また新しい医学的進歩の中での言語聴覚療法の可能性を探るという思いを込めて、今年のテーマは「言語聴覚療法の展開」と設定いたしました。
特別講演の板倉徹先生は覚醒下手術や幹細胞の話など脳外科の最先端についてお話いただき、さらに言語聴覚士も言語聴覚療法を実施する際に障害の原因となっている疾病についてしっかり知っておくことが重要であるというメッセージをいただきました。
シンポジウムは医療、言語聴覚士養成教育、そして特別支援教育という3つの領域における「言語聴覚療法の展開」を考えるという企画でしたが、いずれのシンポジウムにおきましてもシンポジストの方々の豊富な経験に基づくご講演をいただき、どのような方向性で言語聴覚療法の展開を考えていくべきなのか、活発な討議が行われました。職能に関わる内容でありましたがいずれの会場も出席者が多く、関心の高さを示すものであったと思います。
どの演題発表会場でも、またポスター会場でも熱心な討議が繰り広げられており、参加した方々の熱気が伝わってきました。
学生セミナーでも様々な養成校から多数の参加があり、グループ討議が熱心に行われました。ランチョンセミナーでは銀行などの整理券のシステムを導入しましたが、それでも開場前から長蛇の列ができ、ご迷惑をおかけする一コマもありました。
1日目の最後の懇親会は毎年、学会恒例でありますが、今回は同時に、会員の皆様と協会設立10周年ならびに一般社団設立の祝賀の意味も込めたものとして企画しました。多数の皆様がご出席くださり、改めて記念すべき節目を賑やかに祝うことができました。協会設立以来の10年を見てきた者として、この機に折良く学会を開催させていただくことができ、感無量の思いでした。
学会では目白大学の言語聴覚学科の教員を中心に、埼玉県言語聴覚士会のご協力をいただきながら約2年にわたる準備をしてきました。学内では在学中に学会の手伝いをするということは滅多にない機会と考え、言語聴覚学科の学生は1年生から4年生まで、スタッフとして当日の仕事を割り振りました。昨年の倉敷でヒントをいただきましたので、学生はお揃いの大学のTシャツを着て参加しました。皆様に気軽に声をかけていただき、よく働いているとお褒めをいただくことも多く、教員としては望外の喜びでした。ありがとうございます。学生は大変、緊張したようですが、自分の役割を果たすことの大事さを学ぶことはできたようです。今後の様々な学習場面にこの経験が生かされることを祈っております。
不行き届きの点につきましてはすべて私の責任です。この場をお借りしてお詫び申し上げます。
遠方を含め、各地からおいでになった皆様にとって実りある学会でありましたことを願い、来年、佐藤睦子学会長の下で開催される郡山の学会でまたお目にかかれることを楽しみにしています。ありがとうございました。
立石雅子(目白大学)

第9回総会・学会は、本年6月21・22日に宇都宮市の栃木県総合文化センターで開催され、盛会裏に終了しました。会場には全国各地から2000名を超える方々が来場され、これまでで最も参加者が多い学会となりました。
本学会の開催に際しては、本協会の役員および会員の方々はもちろんのこと、栃木県、栃木県医師会・歯科医師会、栃木県理学療法士協会・作業療法士協会など各方面の方々に多大なご支援・ご協力を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。
本学会ではメインテーマを「言語聴覚療法の最前線」とし、最前線ということばに3つの意味を込めました。第1は、最前線の研究や臨床の成果を発表し討議する場になること、第2は海外の研究者と交流し、最先端の研究情報を得ると同時に、国際的な研究ネットワークを強化すること、第3は言語聴覚障害がある方に対するノーマライゼーションを数歩先に進めることです。この3つの目標は今学会である程度達成されたのではないかと思います。
個人演題については、小会場では座席が足りなくなるほどの聴衆が集まり、活発な討議が繰り広げられました。演題は各種言語聴覚障害の障害構造、発生メカニズム、評価・訓練・指導法等に関する研究、養成教育、新潟県中越沖地震被災者への支援体験、ベトナムにおける言語聴覚療法の普及支援など非常に多彩であり、本分野の奥行きの広さ、臨床活動の深さをあらためて実感しました。また、シンポジウムやセミナーでは、本領域の重要課題についてまとまった発表があり、非常に充実した討議が行われました。
個人演題の内容に関しては、臨床と直結した貴重な発表が多く、大いに刺激されました。わが国の言語聴覚士の約70%は20~30歳代であり、発表者も比較的に若い言語聴覚士が多かったように思います。発表演題の中には研究方法の洗練がもう少し望まれるものもありましたが、多忙な臨床活動の合間を縫って研究を続けられた方々に心から敬意を表したいと思います。同時に、今後の学問的発展の担い手になる、若い言語聴覚士の研究活動をサポートする体制を整えることが急務であると思いました。
今学会では、海外から4名の講師を招き、認知神経心理学および言語聴覚障害学の第一線の研究を紹介して頂きました。英国のKaralyn Patterson博士とMA. Rambon Ralph博士には、脳病変によって生じる意味障害の解析を通じて、脳内で意味がどのように表現され、処理されるかについて最先端の研究成果をお話し頂き、深い感銘を受けました。韓国のYoon Mi-Sun博士には「韓国における言語聴覚療法の現状と課題」、香港のKathy Y。S。 Lee博士には「聴覚障害児のハビリテーション」について講演して頂き、両国の言語聴覚障害学の現状と今後の方向性について多くの情報を得ることができました。
海外の研究者との交流は、わが国の言語聴覚士の役割と課題を浮き彫りにしてくれます。本学会をひとつの契機として、言語聴覚障害研究の国際連携が進み、国際社会で活躍する言語聴覚士が増えるよう、心から願います。
今回は、言語聴覚障害がある方へのノーマライゼーションが進むよう、一般市民や高校生を対象とした企画をいくつか設けました。まず、市民公開講座としてノンフィクション作家の柳田邦男氏に「心が通い合うコミュニケーション」と題し講演していただきました。命と死にどのように向き合うかについて淡々と語られる先生のことばに目頭を熱くして聞き入っている聴衆が多く見られた素晴らしい内容の講演でした。また、言語聴覚士の活動を紹介した展示コーナーには高校生や一般市民の方々の来場があり、言語聴覚士という職種があることを始めて知った、もっと知りたいなどの声が寄せられ、会場は盛り上がっていました。
学問の進展は一人の天才によってもたらされることは少なく、大抵は多くの人々がそれぞれの観点から小さな研究を積み重ね、分野全体の研究成果がある閾値に達したとき大きな展開があるように思います。本学会における若き研究者や臨床家の探究心の高まりを見ていますと、言語聴覚障害学領域の「閾値のとき」は着実に満ちてきているように思います。 最後に、本学会をご支援頂き、ご参加くださった会員の皆様に心から御礼申し上げます。
学会長 藤田郁代(国際医療福祉大学言語聴覚学科)

皆様ありがとうございました。お陰さまで第8回日本言語聴覚士協会総会・言語聴覚学会を盛会裏に終了することができました。これも会員はじめ、多くの皆様のご協力の賜物と心から感謝申し上げます。また、総会・学会の運営に際しましては、静岡県言語聴覚士会の皆様に多大なご協力をいただきましたこと、大変にありがたく深く感謝申し上げます。
演題申込み締め切り間際には演題の登録も少なく、学会の開催について心配をしておりましたが、理事、評議員ならびに都道府県士会連絡協議会の皆様方のご協力により、大変沢山の演題登録をいただきました。発表演題数はポスター発表も含め約220演題と過去最高ではないかと思います。会場などの都合から、口演発表からポスター発表に移動していただき、ご希望に添えなかった方も多くあったかと思いますが、どうぞご容赦ください。また、当日は多くの皆様に参加いただきました。参加者は運営スタッフ含め約1900名でした。
私たち言語聴覚士はさまざまな領域に位置づけられ、担うべき役割も年々大きくなっています。社会の期待に応え、専門職としての責任を果たすためには質の高い臨床実践とたゆまない研究活動、職能活動が欠かせません。そこで、このたびの学会のテーマは言語聴覚療法の更なる普及向上を目指して~目標志向の臨床実践~としました。このテーマに沿ってプログラムを構成いたしましたが、いかがだったでしょうか。
特別講演としては脳学者の茂木健一郎先生と嚥下障害で活躍されている藤島一郎先生にご講演をいただきました。
脳科学は言語聴覚障害とは極めて関連の深い領域でありますし、摂食嚥下障害は臨床業務の中で大きな部分を占めるにいたっています。両先生の講演は示唆に富んでおり、新たな視点から臨床や研究に活かすことのできる内容であったかと思いますし、多くの方に満足いただけたのではないかと考えております。
シンポジウムは学会テーマにそって、リハビリテーションの各過程における臨床の展開やあり方について急性期、回復期から維持期の2テーマを、また小児・聴覚障害領域については現状と課題について発表と討論をしていただきました。会場には大変に多くの方がつめかけ、熱心にきいている光景を目の当たりにして、関心の高さが伺われました。短期集中リハビリの促進や医療保険と介護保険の明確化が推進される状況にあって、言語聴覚士も急性期や慢性期において果たす役割を明確にすることが求められています。今回の内容が少しでも皆様のお役に立つことを願っています。
新たな試みとしては、ランチョンセミナーと学生交流集会、臨床上の工夫についての指定演題募集を行いました。ランチョンセミナーは大塚製薬の協力を得て開催した学会初の企画です。NSTに関するテーマでしたが、当初予定した参加者数を大幅に超過し、立ち見で参加された方も多く見受けられました。皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。
また学生交流集会は言語聴覚士養成校の学生を対象にした企画で、学会に参加しても総会の時間は発表や講演がないため、それを補う裏番組として考えたものです。また学生時代から学会の雰囲気を体験してもらい、学習の動機に、そして将来の研究活動に結びつけることを期待したものでした。初めての企画で、かつ年度の途中にかかわらず、大変沢山の学生諸君に参加いただきました。交流集会には約250名の参加があったと思われます。交流集会は雰囲気よく進行したようで、楽しかったとの感想がきかれました。概ね好評であったようです。
臨床上の工夫は効率的な臨床の実践が求められていること、また言語聴覚士は若い年齢層が多く、かつ1~2人職場に勤務する方が多い状況にあることから、皆様が臨床場面で日々工夫し実践している内容を紹介いただくものです。検査、訓練、業務管理まで広い内容の発表がありました。協会ニュースにも順次掲載していただければ、より多くの会員のために役立つものと思います。 初日の午後には第8回日本言語聴覚士協会総会が開催され、平成18年度活動報告・決算報告、平成19年度活動方針・予算案、ならびに第10回日本言語聴覚士協会総会・日本言語聴覚学会長に関する件など、すべての議案が承認されました。詳しくは協会ニュース44号をご覧下さい。
最後となりましたが、このたびの学会運営については事務局として全面的に、しかも精力的に支えてくださいました立石恒雄先生はじめ本学教員の先生方に深謝いたします。また運営にご協力いただきました静岡県言語聴覚士会の先生方に、そして本学学生諸君に感謝いたします。
多くの皆様に支えられて、皆様の力を感じての学会でありました。学会長としてはいたらない点も多々あったかと思いますが、今学会が言語聴覚療法の発展に少しでも貢献できれば幸いです。次期学会は藤田郁代学会長のもと宇都宮市で開催されます。今回の学会を越えるように皆様のご協力をお願いいたします。それでは来年は宇都宮市でお会いしましょう。ありがとうございました。
聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部 長谷川 賢一